アメンボの波紋と、門番猫

コラム/エッセイ

2026/09/12は、東北町の「みどりの大地とロマンの森」を歩いた。緑はまだ濃い。

でも風の温度が、少し秋。珍しいものを探したというより、足を止めた場所を順に置いておく。

水飲み場からだった。

遺跡の石かと思って近づいたら、水が出る。

公園に溶け込みすぎていて、飲む前に笑った。

喉より先に、形を見てしまう水飲み場。

その先の地面に、葉の塊があった。

巨大なギボウシみたいな株で、花のあとの茎がツンツン残っている。

ルミナはヒューケラとも書いたけど、目の前の迫力はモンスターの背中だった。

手入れされた花壇というより、座っている植物。

人工の小川では、アメンボが忙しかった。

ぴょん、ではない。

足の先で水面を押して、波紋だけが重なる。子どものころと同じ目になった。

輪が誰のものか、すぐ分からなくなる。それがよかった。

九月なのにアジサイが残っていた。

色は少し退けて、生花とドライフラワーのあいだ。

季節を教える看板ではなくて、帰り際の人。

まだいる、というだけ。

池のコイは、餌を持っていない人間にも集まった。

バチャバチャは食欲の音。

門を開けたわけでもないのに、通っただけで食事の時間だと思ったらしい。

食いしん坊で、少し失礼で、かわいい。

斜面のシダは、そこだけ時代が違う。

恐 竜は出ない。出ないけど、出そうな気配はある。クマさんが出そうな denseness で、深呼吸が先に来る。

山登り、と自分で言った場所。

帰り際、入口近くの道に猫がいた。

前回と同じ位置。

門番というより、勤務中の顔。

また来たのか、と言わなくても、そう見える。会えて、安心した。

この公園は、大きな発見を用意してくれない。

水飲み場、葉、波紋、残った花、コイ、シダ、猫。それだけ。

でも歩く速さを落とすと、秋の足音は案外うるさい。

次は、アメンボを一匹だけ追う。

門番に名刺は出さなくていい。

 

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